東京多摩・八王子エリアの不動産相続・争族対策(生前対策)・家族信託のご相談ならLIXIL不動産ショップ中央企画・相続サロンまで!
ここまで2回にわたってお話ししてきた生前贈与にかかる贈与税の解説シリーズですが、今回は「贈与税の特例」がテーマです。もしまだシリーズ1回目と2回目の記事を見ていないという方がいましたら、ぜひそちらも併せてご覧ください!
♠過去2回の記事はこちら! |
過去の2回では「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」の、2つの方式についてお話ししてきました。通常、主に使用されるのはこの2つです。今回は、それ以外の特殊なケースについて解説していきます。「孫のために教育費を出してあげたい」「大切な息子や娘の住宅の費用や、結婚資金を支援したい」などをお考えの際にはとても有効な制度となっておりますので参考となれば大変うれしく思います。
まず初めにご紹介するのは、「教育資金の一括贈与に係る非課税措置」です。
この制度は、名前からも想像がつきやすいものとなっておりますが、子や孫のための教育資金を一括贈与する際に便利な制度となっております。
制度の概要を下の表にまとめましたのでご覧ください。
受贈者の年齢 | 30歳未満 |
贈与者 | 直系尊属(曾祖父母・祖父母・父母等) |
非課税金額 | 受贈者1人につき1,500万円 |
拠出方法 | 信託銀行等の金融機関へ信託等を行う |
拠出できる期間 | 令和3年3月31日までに拠出されるもの |
払い出しの確認等 | 教育資金の支払いに充当したことを証する書類(領収証等)を信託銀行等の金融機関に提出 |
届出書 | 「教育資金非課税申告書」を信託銀行等の金融機関を経由して、税務署長へ提出 |
終了時 | ①受贈者が30歳に達した場合:残額(非課税拠出額-教育資金支出額)については30歳に達したときに贈与税が課税される ②受贈者が死亡した場合:贈与税は課されない |
制度の概要をチェックしていただいた上で、詳細について解説していきたいと思います。
手順として、
①直系尊属である贈与者が、1500万円以内で任意の金額を一括贈与
→この時、贈与者は金融機関と受贈者名義の口座開設等の契約をおこない、以降はそこから贈与金額を拠出する形となります。
*贈与の時点で受贈者が30歳未満であることが条件
*前年の所得総額が1000万円を超える受贈者はこの制度の対象外(平成31年4月1日以降)
②受贈者が必要とする都度、契約した銀行口座や信託等から払い出し。
→例えば高校・大学入学の際の入学金や授業料など、必要な時に払い出しがおこなわれます。この時、教育資金として使用されたことを証明する書類を金融機関に提出し、金融機関がチェック、そして保管をします。
③受贈者が30歳に達すると契約終了。
→契約が終了した時点で贈与金額に残りがあった場合には、通常の贈与とみなされ贈与税の課税対象となります。しかし、受贈者の死亡によって生じた残高に対しては課税されません。
また、最初に一括で贈与する形となるので、途中で贈与者が死亡した場合でも教育費の引き出しは継続して可能です。
*教育資金の定義に関しては以下をご覧ください
【教育資金の定義】 ・学校等(保育所や国外の教育機関などを含む)に対して直接支払われる入学(園)金、授業・保育料、学用品費用、給食費用等 ・上のもの以外で、社会通念上相当であると認められるもの(習い事や学習塾の費用、留学の際の渡航費用など) *令和元年7月1日以降の出費で、23歳以上の受贈者への文化芸術・スポーツ活動費に係る指導料などの一定の費用は対象外です。 |
続いてご紹介するのは「住宅取得資金の贈与に係る非課税措置」です。
こちらも名前の通り住宅の取得に関係する制度ですが、中でも子や孫が住む家を新築、増築(リフォーム)等するための資金を贈与するときの制度です。
こちらも制度の概要を下の表にまとめたのでご覧ください。
受遺者の年齢 | 20歳以上(贈与を受けた年の1月1日現在) |
贈与者 | 直系尊属(曾祖父母・祖父母・父母など) |
受贈者の所得 | 総所得金額が2000万円以下 |
非課税金額 | 高品質住宅(省エネ・バリアフリー等):1200万円 左記以外 700万円 |
贈与期間 | 平成27年1月1日から令和3年12月末まで |
適用の居住要件 | 原則として贈与がおこなわれた年の翌年3月15日までに取得もしくは新築した上で居住していること |
非課税金額に関しては、これまでから現在、そして今後にかけて変更がございますので、下の表も併せてご覧ください。
契約締結の年月 | 右記以外の方 | 消費税率10%が適用される方 | ||
高品質住宅 | 一般住宅 | 高品質住宅 | 一般住宅 | |
平成28年1月~平成31年3月 | 1200万円 | 700万円 | ||
平成31年4月~令和2年3月 | 1200万円 | 700万円 | 3000万円 | 2500万円 |
令和2年4月~令和3年3月 | 1000万円 | 500万円 | 1500万円 | 1000万円 |
令和3年4月~令和3年12月 | 800万円 | 300万円 | 1200万円 | 700万円 |
*消費税8%時の贈与に該当する方や、個人売買で中古住宅を取得した方は「右記以外」に当てはまります。
ではこちらも、概要をご確認していただいた上で詳細について解説していきたいと思います。基本的には表の通りで比較的わかりやすい制度ではありますが、補足がございますのでそちらについてお話ししていきたいと思います。
まず、贈与金額の使い途の範囲ですが、以下のようになります。
・住宅の新築 ・新築の住宅の購入 ・中古住宅の購入(条件あり) ・住宅の増改築 ・住宅購入の前もって取得する敷地 ・住宅の購入と同時に取得する土地や借地権
*新築や増改築の場合には床面積が50㎡以上240㎡以下、中古住宅の場合には木造は築20年以内、などの条件があります。
そして、この制度によって贈与がおこなわれた場合、贈与者が3年以内に死亡したとしても非課税になった金額に対しては相続税は加算されません。
最後3つ目にご紹介するのは「結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税措置」です。
またまた名前通り、子や孫の結婚や子育ての資金を一括で贈与するときに利用できる制度になっております。
同じように概要を下の表にまとめたのでご覧ください。
受贈者の年齢 | 20歳以上50歳未満 |
贈与者 | 直系尊属(曾祖父母・祖父母・父母等) |
非課税金額 | 受贈者1人につき1,000万円(結婚資金の場合は300万円) |
拠出方法 | 信託銀行等の金融機関へ信託等を行う |
拠出できる期間 | 令和3年3月31日までに拠出されるもの |
払い出しの確認等 | 結婚・子育ての支払いに充当したことを証する書類を信託銀行等の金融機関に提出 |
届出書 | 「非課税申告書」を信託銀行等の金融機関を経由して、税務署長へ提出 |
終了時 | ①受贈者が50歳に達した場合:残額(非課税拠出額-教育資金支出額)については、50歳に達した時に贈与税が課税される |
こちらの制度は、20歳以上50歳未満の受贈者に対しての贈与で、子育て資金の場合は一人1,000万円、結婚資金の場合は300万円までが非課税対象額となります。
*前年の所得総額が1000万円を超える受贈者はこの制度の対象外(平成31年4月1日以降)
贈与の際や、その後の払い出しに関しての手続きの流れなどは、対象の年齢や金額こそ違いますが教育資金の贈与の場合とほぼ同じものになっています。
しかしこちらの制度では、贈与者が死亡した場合に残高があるとその額を相続財産に加算して相続税を計算することとなります。
適用可能な贈与金の使い途は以下の通りです。
・結婚式費用 ・出産費用 ・産後ケア費用 ・結婚後引越費用 ・新居の住居費用 ・子どもの医療、保育費 ・不妊治療費
いかがでしたか?
贈与税制度には様々な種類があり、非課税金額も種類によって異なります。
節税対策としても利用できる制度ですが、
いかにして節税するかよりもどのような用途で使ってほしいかを考えて利用しましょう。
いかがでしたでしょうか。今回の記事では生前贈与に係る税金の制度のうち、特例の非課税措置を3つご紹介いたしました。
これらの特例は、前回まででご紹介しました「暦年課税制度」や「相続時精算課税制度」との併用が可能となっています。通常の制度と特例を上手く併せて利用することで、大幅な相続税の節税にもなりますし、生前におこなう贈与ですので贈与をする側もされる側も大切な想いを伝え合うきっかけにも繋がるでしょう。
贈与をお考えの際は、ぜひあなたに最適な贈与の種類や制度の組み合わせを確認し、それぞれの利用を検討してみてくださいね。
当相続サロンでは、地域密着で40年以上の不動産実務経験、そして幅広い相続や信託の知識とネットワークを通じて、あなたやあなたの大切なご家族にとって理想的な相続や財産管理の実現をサポートできることを願っております。お悩みやご相談などございましたらお気軽にお問い合わせください。
*当相続サロンは全国に200店舗以上のネットワークを持つ「不動産相続の相談窓口」であり、「LIXIL不動産ショップ相続サロン」の一員です。
〒206-0033
東京都多摩市落合1-7-12ライティングビル1階
京王多摩センター駅 徒歩2分
小田急多摩センター駅 徒歩2分
多摩都市モノレール多摩センター駅 徒歩3分
10:00~17:00
メールでのお問合せは24時間受け付けております。
水曜日・祝日